札幌大谷大学硬式野球部　監督　神田幸輝


　小学3年生の時に少年軟式野球チームに所属、5年生の時にリトルリーグ（硬式野球）に入団、当初から投手兼外野手として活躍した。 横浜中和田中では戸塚シニアに所属。全国有数の激戦地区で奮闘、全国大会出場はないが、秋季南関東大会で優勝するなど中心投手として活躍した。全国最激戦区でも強豪と呼ばれる横浜商大高へ進学。1年秋には関東大会へ出場、翌春（89年）センバツ大会へ出場、1−4で福井商高に敗戦、出場機会はなかったがベンチ入りを果たした。3年生の夏は現在西武ライオンズの河原純一投手がエースだった川崎北高に惜敗した。横浜高、横浜商高が全盛を誇った88−90年の神奈川県高校野球界は現在もプロ選手として活躍する選手を多数輩出した。91年4月横浜商大へ進学しエースとして活躍、95年4月に地元の社会人野球チーム・横浜そごうへ入社。一年目から活躍した。



　99年秋、横浜そごうが休部を発表、一時は社業専念の道を選ぶがサンワード貿易から声がかかり来道、00年のシーズンからサンワード貿易に移籍した。以来、98年創部の若いサンワード貿易の主力投手として大活躍、00年都市対抗野球本大会、日本選手権本大会の2大大会に出場し、北海道を代表する投手として活躍、02年、03年の2年連続北海道社会人野球ベストナインに選出された。03年の都市対抗野球本大会では8強入り、昨年の日本選手権では強豪・日本生命に投げ勝つなど8強入り、大会優秀選手にも選ばれた。

　サンワード貿易では6年目のシーズンとなった05年は7月の都市対抗野球本大会では代表権を逃すもJR北海道の補強選手として東京ドーム出場。00年から6年連続の出場となった。9月の日本選手権北海道予選では準々決勝から3日間連投と獅子奮迅の大活躍。3試合目の決勝は室蘭シャークスとの激戦を制し、2年連続の日本選手権本大会出場権を獲得した。




「経験や技術　学生たちに」

　都市対抗野球でＪＲ北海道が、道勢１９年ぶりの黄獅子旗（３位）を獲得した第78回大会（２００７年）。現在、札幌大谷大野球部で監督を務める神田幸輝さん（４６）はチームの大黒柱として快進撃を支えた。観客で埋め尽くされたスタンドからの大歓声と、郷土色あふれる応援。東京ドームのマウンドからみた風景は、今も目と耳に残っているという。

　横浜市出身で、横浜商大から横浜そごうで５年間プレーしたが、チームは休部。活躍の場を求め、津軽海峡を渡った。札幌市ではサンワード貿易で６年間プレーしたが、今度はチーム解散という憂き目に遭い、０６年からＪＲ北海道に籍を置いた。

　１９０９年創部のＪＲ北は当時、チーム改革に取り組んでおり、０１年に初めて外部監督として北海道拓殖銀行でプレーした高岡茂夫氏（現札幌国際大監督）を招致。選手強化に加え、休廃部したチームから選手を招いた。野球ができる環境に感謝し、真摯に取り組む姿勢を若手選手に感じ取ってもらいたいとの願いからだった。

　神田さんは当時３５歳。第78回大会はコーチ兼務のベテラン左腕として、準決勝まで４試合に先発や抑えでフル登板した。「選手みんなの勝つんだという強い意志で一丸となっているのをマウンドから感じていた」と振り返る。

　現役引退後は、男女共学化でチームができたばかりの札幌大谷高野球部でコーチを務め、その後は札幌学生野球連盟に新加入した札幌大谷大監督に就任した。

　道内の高校や大学では、かつて道社会人球界でプレーした選手が後進の指導にあたっている。神田さんは投手出身として、大事な場面で打者と対峙した際の初球の入り方や、相手を追い込んでからの勝負球など、より実践的な指導を行うほか、「練習の時から、試合で自分をコントロールする力を養えることにも力を入れています」と話す。現役時代の冷静なマウンドさばきが目に浮かんだ。

　アマ球界のトップで培なわれた経験や技術。現役選手にとって、代え難い財産となるはずだ。